朗読「角筈にて」 9月23日夜公演

年間で数はそれほど多くはないのですが、
芝居やライヴやイベントを見るのが好きです。
演目やスケジュールにもよりますが、
チケットが取れる限り同じ芝居を何度も見たり、
バージョン違いを見比べたり、という事もよくします。
その時、よく聞かれるのは
「同じ芝居やコンサートを何度も見て、面白い?」という言葉。
しかし、全く同じ芝居、全く同じライブなんて、
本当は存在しないのです。
出演者や自分のコンディション、観客の反応、転換のタイミング…
さまざまな外的・内的要因によって、日々変わるのがステージ。
フィルムやメディアに固定された映像からでは感じられないもの、
『空気』がそこにはあります。
二度と見られないから、一つ一つが思い出の宝物になる。

この二日間は、それを実感できた至福の二日間でした。

というわけで、行って参りました
劇団店じまい公演 朗読「角筈にて」。
出演者は我らが社長を初め、
安富史郎さん、橋本のりこさん、栗本有紀子さん、竹本翔之介さんという、
名前は知らなくても、
関西に住んでいたらあれ?どこかで聞いたことがあるぞという
声の仕事をメインにしているベテランの面々。
原作は浅田次郎の短編小説。
人生の挫折を味わった四十六歳の男が、亡き父親との邂逅を経て
自分がどれほど周りの人に愛されていたかを知り
もう一度自分の人生を再生させていこうとする物語。
社長がこの仕事をすると初めて聞いたのは
去年11月のとあるイベント会場でしたが、
自分はこの話が好きで、何度も繰り返して読んでは泣いていたので、
この話を聞いたときは思わず1人こっそりガッツポーズを…(笑)
驚いたのは、いつもは自分のスケジュールなんて
一週間先のも人に教えてもらわないと覚えていないであろう(推測)社長が
年を越えて来年の話を、作品の名前まできっちり告知したことです。
3日前に録った長尺のタイトルも忘れてしまう人がですよ!?
その時に、ああ、この仕事は自分が「やりたい」と思って作った仕事なんだな
と思いました。「やります!」って言った時、なんだかうれしそうだったし(笑)
でも、なんで大阪なんだろう?とも思ったわけで。
自分が関西に住んでいていうのもなんですが、プロモーション活動をするなら
自分の活動の中心である東京の方が断然有利ですし、
稽古をするのも自分のスケジュールにあわせやすい東京の方がいいに決まっている。
正直東京より景気が悪く、有名俳優のお芝居や有名アーティストのライブでも
チケットが完売するのはごくわずかというエンターテイメント不況の大阪で
なぜわざわざ地味な「朗読」という公演をしようとするのか?
単なるオファーなら普通断る仕事です。
ならば、考えられるのは一つだけ。

そこに時間と労力のハンデを乗り越えても
「一緒にやりたい」と思える人たちがいたから。


となると、まず作品ありきでキャスティングにはめ込まれる普段の仕事とは
絶対に違う何かが見られるに違いない。
そんなチャンス、ファンなら絶対に見逃がせません。
そう思いませんか?(って、誰に聞いてるんだ…笑)
てなわけで見てきましたよ、3公演。
何故か取れた(取ってもらった)チケットが全部3列目!
おまけにあろうことか、24日昼夜は全く同じ席(笑)!ぴあなのに!
まさか発売当日にぴあに電話した人って、あんまりいなかった…?(爆)



テイジンホールはキャパ268のこぢんまりとしたホール。
マイクなし、地声で通そうと思ったら多分ぎりぎりの広さです。
ステージセットは、段差のバリエーションをつけた雛段と黒い椅子が5脚。
バックは暗幕中央を細く開けてその間のホリ幕に色を映すというシンプルなもの。
下手に2台のシンセサイザー。演奏者は演者の微妙な間を読みながらの生演奏です。
出演者は一応登場人物の振り分けはされているものの、
場面場面でト書き(地の文)も読んでいきます。
雛壇の位置と高さをうまく使った場所移動でシーンに動きを出して
観客を飽きさせない工夫がされていました。

一回目、23日夜公演。
客電が落ちてシンセサイザー演奏者が登場。
メインテーマが流れる中、台本を手に出演者登場。
客席からも近いので、客電があがってライトに照らされると
その表情から、みんなかなり緊張しているのがわかるくらい。
しかし、それぞれの第一声はそんな緊張をみじんも感じさせないくらい
落ち着いていてびっくり。
滑舌、掛け合いの間、前の人の言葉を受けての引継は
さすが「読むこと」のプロフェッショナル、
「言葉」を伝える職人の方々と感心しきりでした。
全員で稽古ができる機会もあまりなかったでしょうに、
何回かあるステージ上での移動もスムーズで、
ある種、完成されたものを感じました。
あとで演出の方に聞いてみたら、
「ケンユウさんにできないことはどんどん省いて行ったから♪」ということだったらしく
それはある意味正しいかも…と。(笑)
客席も満席、ほとんどノーミスで(あったとしても全然気づきませんでした)
凄みすら感じさせる舞台。
ラストでは客席からすすり泣く声も聞こえてきます。
でも…、自分は泣けませんでした。
あまりにも、整いすぎていたから。
多分、自分の作品への思い入れが強すぎたんだと思います。
社長の「恭一」は酔っぱらっていても言葉を乱すことはなく、
安富さんの「保夫」は虚勢を張ったりはせず、
橋本さんの「子供の恭一」は少し大人びていて、
栗本さんの「久美子」は世の中の男性が理想とする妻でした。
すべてが整然としていた中で、
ただ1人、竹本さんの「お父さん」だけが感情の揺れをあらわにしていた。
でも、さざなみ一つ立たない水面に投げられたその揺れは、
逆に、「優しいが心弱い存在」である「お父さん」というキャラクターを
はっきりと印象づける結果になったような気がするのです。
その証拠に、後半、一対一で父と相対した社長の「恭一」は
あきらかに「お父さん」に引きずられていました。
というか、会場全体が「お父さん」とそれにゆさぶられた「恭一」に
引っ張られていたような気がするのです。
自分はその現象にドキドキして、もう泣くどころじゃなくなってました。
今まで見たことがなかったものを、見たような気がしたんです。
一種の、異種格闘技のようなものを(笑)

その瞬間、翌日の2公演も、
このメンバーはきっと何かすごいものを見せてくれるんじゃないかという
確信が生まれました。
もうそれだけでわくわくです(笑)。
おかげでその夜は朝の4時まで寝られませんでした。
(遠足前の幼稚園児かいっ!?)

というわけで、ここまでがあまりにも長すぎたので
この後は次の項目で~!
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by yuqui084 | 2005-09-25 21:03 | 社長!

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