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読みました。

バガボンド 28 (28) (モーニングKC)
井上 雄彦 / / 講談社


先週、会社帰りのネットカフェで、
3日かけてバガボンド1~28巻一揆一気読み。
以前読んだときは、どんどん人が死んでいくのがつらくなって
途中で読むのをやめてしまったんですが、
今回はちゃんと読み通すことができました。

「強くなりたい」といって、さまざまな人たちと戦って、切り捨て、
自らも傷ついて、それでもまだ戦う道を選ぶ宮本武蔵。
強くなって何かを手に入れるという二次的な欲望ではなく、
ただ「強くなりたい」。
だけど、自分が強くなったのかどうかは、強い相手と戦ってみなければ判らない。
本編にも書いてあったように、
真剣で斬り合うあの時代の試合はそのまま「命のやりとり」になるわけで。
自分より強い者と試合して負けた瞬間が、その人間の命の終わりの時でもある。

でも、本当に、それで悔いなく死ねるのだろうかと。
つい、自分なんかはそれになんの意味があるのか?と思ってしまうのですが。

人を殺めて、その相手に「育ててもらった」「ありがとう」というのは、
ある意味食物連鎖的ですよね。
「あなたが死んだおかげで自分は強くなった。」
「あなたを喰らって、私は生きる。」
だけど、いつかは自分も討たれ、喰われるときが来る。
それはそれで良し、なのか?
ただ、それを良しとして生きるシンプルな生き方にはちょっと憧れます。
生まれてからただひとつのことだけを追いかけて生きる。
その純粋さに嫉妬。
読んでいると、無性に剣道がしたくなります
(これでも一応、有段者←でももう過去形)。
相手に竹刀を打ち込むとき、
果たして自分は何を考えていたのだろうかと。
先輩に言われたんですが、
剣道は今はスポーツになってしまったけれど、
それでも相手を殺すつもりでかかっていかないと勝てないって。
いかにも物騒な物言いですが、でもそれはよく分かります。
どんな相手でも迷いやひるみや侮りがあると必ず負けるんですよね。
中学時代、道場で身体の大きな警察官と試合して
ぼこぼこにされて「ちょっとは手を抜いてくれても…」と思っていましたが、
誰にでも全力投球なのが正しい剣道への向かい方なんだそうで。
あれが真剣だったら、もう200回くらい死んでるような気がしますよ(爆)。
でも、さすがにもう昔のような体力がないから、
今度はどこかで居合を習ってみようかな…
とか中途半端なことを考えている時点でダメダメな自分…(爆)

「強くなりたい」だけを手に生きるというシンプルな生き方は
もう現代では難しいと思うのですが、
「マンガを描いて生きる」作者の井上雄彦氏の生き方は、
ある種それにかぶるような気がしました。

描く、描く、描く。ひたすら新しい表現、新しい物語を。

その追求のなかに、あの「最後のマンガ展」もある、と。
終了まであと一カ月を切りましたが、
もう土日の指定券は売り切れらしいですね。
終了後、会場の様子やその後を収めた
「いのうえの 満月篇」を読むのが今から楽しみです。

by yuqui084 | 2008-06-16 16:59 | 読書

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