WOWWOWの特番内でスパイク・リー監督が
「すごく面白い脚本だった!」と連発するので、
うっかり見たくなって見に行ったんですが…
どうしましょう…「トランスポーター2」に引き続き、
ものすごくツッコミを入れたくなる映画だったんですけど…(笑)。
白昼マンハッタン信託銀行に強盗が入った。
犯人は頭の切れる冷静沈着な男(クライブ・オーウェン)。
対するNYPDチームのリーダーは
横領の疑いをかけられて進退を問われている捜査官(デンゼル・ワシントン)。
一方、膠着状態の現場=銀行の貸金庫に
誰にも知られたくない『秘密』を保管している
信託銀行会長(クリストファー・プラマー)は、
交渉人として腕利きの弁護士(ジョディ・フォスター)を差し向ける…
緊迫した現場で繰り広げられる、様々な思惑を秘めた人間ドラマ。
あの~…シリアス社会派サスペンスドラマかと思ったんですが…
違いますよね?(笑)
なんかね、観ててどんどん楽しくなってしまったんですよ。
くるくる回ったり、ずんずん寄ってきたりするカメラワークとか、
「狼たちの午後」(1975年製作のシドニー・ルメット監督作品。自分も大好きな映画です。
クリス・サランドンが好きだったからというと、みんな変な顔をするんですが…笑)
に対する
すんごいリスペクトぶりとか。
監督ってば、絶対遊んでるって。
交渉のひとつひとつにわざわざドアを開けて出てくるところや、
子供に「こんなゲームやっちゃダメだ」というところでは
…
デジャヴ?とか思っちゃいました。
(「狼たち…」では、女性の人質にタバコは体に悪いとか注意するんですよね)
警官たちが待機していたのは、床屋じゃなくてコーヒーショップでしたが(笑)
スパイク・リー作品を見るのは「ガール6」以来だったんですが、
最近の監督ってこんな感じなんですかね?
謎を含んだクライムサスペンスだっていうから
前半すごく真面目に観ていて、
犯行シーンに取り調べのシーンがカットインされる場面では
時間軸が前後するのは、同監督作品でよく見るスタイルなので、
絶対このシークエンスにはなにかある…!と思いながら目を凝らしてたんですが
いかんせん、自分が外国人の顔をよく見分けられないため、
結局「誰だっけあれ?…(汗)」となってしまい、
ああ、これで謎解きは無理か…とか思ってたんですが、
結果的には雰囲気さえ分かれば全然オッケーだったり。orz
「インサイド・マン」ってタイトルだって、
はじめ人質か犯人か警察のどこかに内通者がいて、
その人物が犯行あるいは交渉を攪乱して…とか勝手に想像していたら…!!
その意味が分かった瞬間大爆笑してしまいましたよ。こんなんアリかと!
真剣に観ていた我々はなんなんだと!(笑)
それを皮切りに後半、どんどんリアリティから離れていってしまって
実は最初から「完全犯罪ドラマ」を作るつもりなんかじゃなくて
面白いパスティーシュを作るつもりだったんじゃないかと思ってしまったくらいで。
だから、この映画の最大のキモは、
「あの役」をあのクリストファー・プラマーが演った、
ということなんじゃないかとこれまた勝手に思ってるんですが。
だって、
フォン・トラップ大佐(サウンド・オブ・ミュージック)ですよ!?
あれをジョークといわずして何というかと(笑)
とにかく、完全犯罪としてはツッコミどころが多すぎる!!(笑)
でも、犯罪映画としては全然ダメダメだけど、
人間ドラマとしてはかなり面白いです。
入れ替わり立ち替わりする、様々なバックグラウンドを持つ人々。
ちょっとした台詞にパロディやらアイロニーやらのスパイスが効いています。
お金や昇進をちらつかされてふらりと心動かす人間くささとか
犯罪と日常が交錯・平行する不思議な感覚とか
官僚主義的な組織のありかたとか
「あるあるある…!」的な面白さ。
…しかし、この映画についてネタばれせずに書くことがこんなに難しいとは…!(笑)
まあとにかく、デンゼル・ワシントンとクライブ・オーウェンと、
ジョディ・フォスターとウィレム・デフォーというキラ星スターが軒並み出演していて、
配給が大手UIPなのに、
かかっている劇場がメイン劇場じゃないとか、
単館作品の「クラッシュ」並みの宣伝費しかかけてなさそう
(TVスポットの入り具合とか、新聞広告の段数とか)
ということは、配給的にもそういう期待度の作品だということですよね(笑)
でも、自分は好きな一本でした。面白かった!それに尽きる(笑)。
「狼たちの午後」を観てから行くと、より楽しめます。
そして、「ここは笑うところかな?」と思うところがあったら
きっとそこで笑うのが正しい見方なんだと思います(笑)
だって、ジョディ・フォスターだって
インタビューで「この映画に出演されていかがですか?」って聞かれて
答えた言葉が
「久しぶりにおしゃれができてよかった♪」なんですから。
(いやいや、映画に関する感想は?…笑)
なにはともあれ、お楽しみはお気楽に!ということですね(笑)