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メゾン・ド・ヒミコ

最近、ドラマや映画を観て思うこと。

柴崎コウって、何でいつも眉間にシワ寄せてる役なんだろう…

というわけで、封切り時には観に行けなかったのですが、
丁度名画会にかかっていたので行ってまいりました。
犬童一心監督&渡辺あや脚本「メゾン・ド・ヒミコ」。
前作の「ジョゼと虎と魚たち」で数々の賞を受賞し、
30代~40代の映画評論家(特に男性)を夢中にさせたと噂の(笑)コンビであります。

塗装会社で働く沙織のもとへある日一人の青年が訪れる。
彼は、彼女の父親が死にかかっていると告げ、一緒に来てほしいという。
自分と母を捨てて出ていった父親、それもゲイの父親になど会いたくないと
かたくなに断っていた沙織だが、ある事情から借金を抱えており
ではバイトをしてくれ、謝礼は払う、もしかしたら遺産も…という青年の言葉に、
ゲイの人たちが集う老人ホーム「メゾン・ド・ヒミコ」に足を踏み入れるのだった。

淡々と話が進むのでうっかり普通に見てしまうのですが、
シチュエーション的にはかなり非凡(笑)。
普通の老人ホームの話でも良かったはずなのにゲイの老人ホームにしたのは、
もともと犬童監督がこの作品の前に
大島弓子の「つるばらつるばら」を映画化したかったから!ということらしいのですが、
それ以外に、メインにオダギリジョーをキャスティングしてみたかった、
というのがあるのではないかという勝手な妄想を抱いているのは自分だけ?(笑)
だって、オダギリジョーって
普通の芝居は「どうなの?」というくらい下手(こらこら)なのに、
ちょっと変わったキャラクターとか、変な人を演らせたら驚くほど嵌まる。
はっきり言って「変キャラ限定雰囲気役者」。
でも、これはキャラクター役者としてはある意味最強(笑)。
おかしいなぁ…確か正義の味方のバイク乗りでブレイクしたはずなのに…(爆)
この映画の中でも、人間のかたくなで硬くて強い部分は柴崎コウが引き受け
柔らかくて綺麗なようででも一皮剥けば生臭い、という部分を
オダギリジョーが担っている、という感じで、
なんだか男女逆転劇を見ているようでした。
そのほかの登場人物もそれぞれ過去も影も持っている個性的な人々。
同じ場所に住んではいるけれど、それぞれが孤独。
普通の映画なら何か事件が起きてみんなの結束が…とかあるんでしょうが
この映画では、個人個人の事件はあれど、結局はみんな独りなんだ、
ということが描かれているような気がしました。
でも、頭から足まですべて共感や共有や理解する必要なんてない。
独りだから、人とは違っているからということがわかっているから、
大切にしていきたいと思うこともあるわけで。
ラストにはほんのり暖かい気持ちになりました。

それともうひとつ。
田中泯の「ヒミコ」は気品があって、
「たそがれ清兵衛」の鬼気迫る浪人の尖り様とは
一味違うおだやかさ。
でも、沙織に「好きよ」というシーンの、その言葉のなんという力強さ。

ちょっと憧れました。

by yuqui084 | 2005-12-01 00:50 | 映画

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