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☆TEAM☆AMERICA WORLD POLICE(DVD)

この世の中、ある程度歳を取ってきたら
人はそれなりに分別を覚え、他人に合わせることを覚え、
下品な発言には眉をひそめ、長いモノには巻かれろで生きていこうとする。
だが、「サウスパーク」のクリエイター
トレイ・パーカーとマット・ストーンには、そんな気持ちはさらさらない。
ひたすら自分たちが(時には自分たちだけが)面白いモノを追求し
嫌いなモノや人はこてんぱんに叩き、茶化し、嗤う。
悪ガキ時代から成長していない子供である。
そして、アホである。
アホでなければ、こんなに面倒で手間とお金のかかる映画人形劇は作れない。
彼らの姿勢は保守でもリベラルでもない。
ただの「大アホ」である。

というわけで、観ました。「チーム・アメリカ ワールドポリス」(笑)



世界の平和を守るという使命に燃え、
世界各地でテロリストを相手に戦うチーム・アメリカの面々は、
新しいメンバーとして、ブロードウェイ俳優ゲイリーをスカウトする。
そして、演技力抜群の彼をおとりに、
テロリスト達のアジトに潜入捜査を行うが…


監督:トレイ・パーカー
脚本:トレイ・パーカー、マット・ストーン、パム・ブラディ
このあたりは、「サウスパーク」。なのに、
撮影監督:ビル・ポープ(「マトリックス」「スパイダーマン2」の撮影監督)
音楽:ハリー・グレッグソン=ウイリアムズ
(「シュレック」「エネミー・オブ・アメリカ」「キングダム・オブ・ヘブン」、
ゲームでは「メタルギア・ソリッド」シリーズの音楽)
なんですか?この豪華なスタッフ陣は!(笑)

そのくせ、ヴォイス・キャストがこれ。(カッコ内は吹き替え版。こちらは豪華!)
ゲイリー:トレイ・パーカー(森川智之)
クリス:マット・ストーン(小山力也)
リサ:クリステン・ミラー(日野由利加)
サラ:マササ(高乃麗)
ジョー:トレイ・パーカー(堀内賢雄)
スポッツウッド:ダラン・ノリス(長克巳)
キム・ジョンイル:トレイ・パーカー(松尾貴史)
ショーン・ペン:トレイ・パーカー(田口トモロヲ)
マイケル・ムーア:トレイ・パーカー(KORN)
スーザン・サランドン:トレイ・パーカー(LiLiCo)
トレイ・パーカーほぼ独り舞台!家庭内手工業か(笑)

全編パペットを使用して撮影された一大人形劇なんですが、
びっくりしたのは、人形達が微妙な表情をだすんですよね。
アップの時なんか、照明効果やカメラワークのせいもあってかなり人間っぽい。
でも、歩いている姿は昔ながらのあやつり人形で、
そのギャップが面白かった。
で、ストーリーは本当に「くそ真面目にお金かけて馬鹿なことをやっている」感じ。
「ねぇねぇ、突っ込んで!」と言わんばかりの台詞や展開。
下ネタに排泄物ネタ、ヤバイ政治ネタ、
映画界やアメリカという国に対する強烈な皮肉やパロディ
(自分も所属してるのに…笑)は、
親に「やめなさい!」と言われてよけいに大きな声で「ウンコー!」とか言ったりする
幼稚園児と同じノリ(笑)。
でもその悪ふざけの仕方が半端じゃないのは
パペットの完成度や、衣装やセットの精巧さ、撮影のクオリティの高さが
ちゃんとしたハリウッド映画並だから。
「面白いから」といって、コレをCGでやらないところに職人根性をみました(笑)
映像特典のメイキングがかなり面白いです。
(メイキングでは、なんといってもビル・ポープが素敵!
普通なら「マトリックス」撮ったあとにコレはやらないでしょう…笑)
あと、挿入歌がどれも最高。
メインテーマ(悲しい場面では「ファ☆☆・イェ~…」と悲しそうに歌ってます)と、
マイケル・ベイの歌(ええっ?)、「モンタージュ」には爆笑。


で、「吹き替え版」です。
はっきりいって、吹き替え版がこの映画のクオリティをかなり上げています。
オリジナルでは、トレイ・パーカーが多数の出演者をこなすことで
「おいおい、これもかよ~」というギャグ感を出しているのですが
吹き替え版はそれぞれのキャラクターを芸達者な方々が演じておられ、
それが真面目に馬鹿な芝居をやるもんだから、
ときどき、そのギャグを笑っていいのやらわからなくなったりすることも…(笑)
主人公、素直な天才俳優ゲイリーは森川さん。
端正なさわやか美青年声ですが、おとり捜査でねつ造した経験を話すときは
熱っぽい迫力を見せてくれます。
大変だなぁと思ったのは酒場裏でのリバースのシーン。
これが長い!マジでつられて気持ち悪くなってしまいました(笑)
でも圧巻はやはりクライマックス。
あんなにさわやかに滑舌よく語られる放送禁止用語ははじめて聴きました(笑)。
心なしか声色が嬉しそうに聞こえるのは気のせい?
あとベッドルームでの甘いささやきの間にリサに目を突かれるシーンは
オリジナルでは無音なんですが、森川さんはちゃんと「イテッ」て言ってます。
それが可愛くてちょっと萌え…(笑)

さて、オリジナルではゲイリーと同じくトレイ・パーカーが演じているジョーは
吹き替え版では社長です。
会話の場面でメリハリを出すため、ジョー役の時のトレイは
ゲイリー役の時よりちょっとトーンを高めに声を出しているんですが
社長はそれを踏襲して、
ちょっとビバリーヒルズ青春白書のスティーブっぽい高めの声。
でも、全然クォーターバックっぽくないんですけど(笑)。
ジョーはルックスに似合わず女性に奥手な純情青年。
好きな彼女を見つめながら
「ボクはなんにも持ってないけど、畑を照らす満月は見せたいなぁ…」
というロマンチストぶりは、物憂げな声でバッチリでした。

小山さん演じるクリスは、
過去のトラウマ(笑)から俳優を毛嫌いするマーシャルアーツの達人で
なんだかんだとゲイリーにつっかかっていくんですが、
小山vs森川にケンカを止めに入る社長が混ざれば
あらためて外画吹き替えチームの声の良さに聞き惚れます。
長さんのスポッツウッドはかなり好き!
真面目な顔してゲイリーにあーんな事やこーんな事を(笑)。
基地ではいつも動く椅子に座って、ウイスキーのグラス片手に
右や左に移動しながらしゃべっているのが笑えます。
松尾さんのキム・ジョンイルは
オリジナルのトレイ・パーカー版とそっくりでびっくり。
なまりなんて上手いなぁと思ったし、
歌もそのまま歌えたんじゃないでしょうかね?

しかしながら、この映画、翻訳は大変だったんじゃないでしょうか。
俳優協会(フィルム・アーティスト・ギルド)は
「F.A.G=オカマ野郎」と字幕に書かれているのですが
吹き替え版では「ホーム・オブ・モラリスト=ホーモー」(なんじゃそれ?)
になってるし、
もろもろのスラングやギャグは日本語じゃよく分からないものもあったり。
クライマックスシーンはマジで「ええんかいな、コレ?」って感じ。
(少なくともテレビ放送はできません…笑)
しかし、英語の隠語より、日本語の隠語の方が猥雑でヤバイ言葉に聞こえるのは
自分が日本人だからでしょうかね?

この映画でばっさり殺られていたセレブの皆さんは
ほとんどが、無視か静観しているらしいですが
(マイケル・ムーアが今作の中で自爆したのは、
彼の映画に勝手に「サウスパーク」のキャラを使われた仕返しだそう)
ショーン・ペンだけは烈火のごとく怒ったそうな。
しかしながら、今作で一番怒っていいのは
やっぱり「マット・デイモン」だと思いますよね…。ね、Sさん?(笑)

by yuqui084 | 2005-12-12 23:23 | 映画

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