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静謐なる立体

兵庫県立美術館へ「アルベルト・ジャコメッティ展」を観に行って来ました。

これまで、企画展で一、二点出展されていたのを観たことはありますが
単体の展覧会を観るのは初めて。
作品は良く知っているけど、本人についてはあまり知らなかったなぁと、
観ながら思いました。
キュービズム→シュールレアリズムから
「見えるものを見たままに表現したい」と、あの針金のような人物像に。
スケッチなどは偏執的に頭部への描き込みがされていて
ちょっとエキセントリックな感じ。
美術的パトロンの肖像画なども、顔とか真っ黒で
思わず「描かれた本人、これでうれしいのかなぁ…?」とか思ったりして。
ただ、誰が見ても「ジャコメッティ作」と分かるのは利点?(苦笑)

今回の個人展では
日本の哲学者・矢内原伊作氏との交流がクローズアップされていましたが
矢内原氏は、ジャコメッティをスランプから助け出したと言われている人。
コーナーまるまる一つ彼を描いたスケッチと、彼の肖像。
ご本人もジャコメッティ本人と同様、繊細な感じを与える風貌です。
それでですね、
今回、観るのは2回目だという友人(♂)と一緒に行ったのですが
その彼が、展覧会のオープニングパーティに出席した
元上司がつぶやいた一言を教えてくれまして。
「この2人…絶対できてる…」だって。
あらあらあら!自分もそう思いましたですよ!(爆)
といっても、時代が時代ですし、どちらも奥さんのいる方ですので
いわゆる「精神的情人」という感じではありますが。
…っていうか、その元上司、自分も知っている人なんですが
本当に普通のおじさんで、そんなことを言い出す人には全然見えないので
そっちの方が驚きました(笑)
まあ、ふつうのおじさんにもそう納得されてしまうくらい
ラブラブなジャコメッティ&矢内原コンビだったわけで。
2人がやりとりした書簡を展示してあるコーナーがあるんですが、
もうね、本当にラブレターのようでした。
この展覧会でなによりも興味深かったのは、
その書簡類だったといっても過言でないくらい。
知と芸術を支えあう人との出会い。
なんだか、その情熱がちょっとうらやましかった。

で、特別な人との手紙ではそんな情熱的なところもみせるジャコメッティですが
立体の作品はいたってシンプル。
静謐といっていいくらいのたたずまいを見せています。
今回展示されていたのは、ほとんどが人物像。
しかし、かれらは展示室のフロアでひっそりとたたずんでおり
その静けさは自分にとってとても好ましくありました。
存在感はあってもうるさくない。
(ロダンとかかなり好きなんですが、ちょっと暑苦しいときが…)
もしかしたら、マイナスイオンとか出てるかも…?
作品の隣に立つのが心地いいという展覧会は久しぶりでした。
家に一点あったらいいのに…。買えないけどさ。(爆)

by yuqui084 | 2006-09-11 00:49 | お楽しみはこれもなのだ

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