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夏が終わりますね。

休み明けに会社に行ったら
仕事が机の上に山積みになっていました。
まさに「山」。
もうマンガかドラマでしか見られないと思っていた風景が
実際に目の前に現れようとは!
ていうか、みんな、自分の休みが終わったからって…(爆)

東京1泊2日には慣れてたんですが
さすがに真夏は体力を奪われますな。
2日目は森美術館の「ル・コルビュジエ展」に行ってきました。
これがめっぽう面白かった。
ちょうどこの間テレビで安藤忠雄が訪れていた、
マルセイユのユニテ・ダビタシオンの実物大模型が展示されているとは!
外側は模型だけど、キッチンユニットはホンモノでした。
そんなこんなで、少し時間がたってみると、
前日観た2本の芝居の印象も変わりつつ。
よく考えると、どちらとも観客の文学(史)リテラシーを試されるような内容だなぁ…(汗)

「ロマンス」は6人の出演者全員が実力派揃いで
最初から最後まで安心して観られました。
それぞれに求められている役割をきっちり果たしている、という感じ。
井上ひさしさんのお芝居では、
1人の役者さんが何役も演じるのはよくあることらしいんですが
1人の人物を複数の役者さんで演じるのは初めてだとか。
ステージセットも転換に回り舞台を利用したシンプルで上品なスタイル。
「こまつ座」のお芝居はどちらかというともっと堅苦しい印象だったのですが
外国が舞台だからか、はたまた生瀬効果(笑)か
ずいぶん軽やかに感じました。
すっきりと、でも丁寧に作られている感じ。
一方の「乃木坂倶楽部」
荒削りだけど、熱かった。
今思い返してみると、こちらの方が印象に残っているような気がします。
狭い会場、狭い舞台。背景も大道具も袖幕も手作り。
そして作り手の思い入れもたっぷり。
まあ、書き手本人の思い入れが強すぎて観客に不親切な所や、
時代物らしくときどき文語調の台詞が入るのはいいけれど
漢字や意味が思い浮かべられず観客の反応が遅れたりすることはありましたが。
(「畢竟」って、まず普通に使わないよね…汗)
狭い舞台の上では身体演技も制限されますが、
役者陣は狭いスペースを有効に使って、あまりムダな動きもなく
すんなりと演じておられました。
萩原朔太郎は、箸の扱いからしてホントにダメダメだったし、
朔太郎の友人達は、みんなキャラの立て方が上手かった…(笑)
そして、女性陣はみんなオトコマエでした。
朔太郎を演じる宮崎さんのお芝居には、
そこはかとないペーソスが漂っていました。
なんというか、ダメなんだけどなんだか憎めないキャラ。
多分テーマ的には、
朔太郎と芥川@メフィストフェレスの会話がキモなんだろうと思いますが
友人達との動きのあるシーンでみんな持って行かれた感じ(笑)
古澤さんなんて、ほとんど机に向かって何か書いているか
立ったまま禅問答しているかのどちらかだったので
お芝居的にはちょっともったいなかったです。
結局、幽霊芥川の「死への誘惑」を無効にするほど
朔太郎はダメダメパワーは強かったという話(ええっ!?)。
(まあ、ある意味自死は瞬発力を必要としますからねぇ…)
でも、多分、そんなものなんでしょう、人間って。
当の芥川龍之介は、「なんとなく不安」で自殺を図った人ですが
現代社会では自分を含め、同じような不安を抱えている人は多い。
でも、そう簡単に死ねやしません。
そんなときに、朔太郎のヘタレ口調で唱えるのもいいかもしれません。
「良くも悪くもとりあえず、人間は死ぬまで生きていく」と。
そんなお芝居だったような気がします。

そうそう、
ロビーで「萩原朔太郎10選」と称した記念CDが発売されていたので購入。
開幕前に会場に流れていたものらしい。
社長が
●地面の底の病気の顔●内部に居る人が畸形な病人に見える理由
●大渡橋●漂泊者の歌●帰郷、の5編
古澤さんが
●ばくてりやの世界●猫●竹●Omegaの瞳●郵便局の窓口で、の5編を
詠んでいます。
残念ながら、録音環境がプロ仕様でなく、
一本一本の音響レベル(というか、音質?)がばらばらなので
少々聞きづらいのですが、まあぼーっと聞く分にはいい感じ。
面白かったのは、社長の読みは「客体」、古澤さんのは「主体」。
意図して選んだのかもしれませんが、
古澤さんはまりすぎ(笑)
社長の「漂泊者の歌」もぐっとくるんですが、
自分が一番好きなのは古澤さんの「竹」でした。

by yuqui084 | 2007-08-29 23:00 | 舞台

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