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罪と罰はどのような天秤に乗せられるべきか。

久しぶりに映画館のはしごをしました。
「ブレイブ・ワン」
「グッド・シェパード」
両方とも見ごたえがありました。
特に、グッド・シェパード。
3時間弱と長尺ですが、全然長さを感じませんでした。
これこそ映画館の暗がりで見るべき映画。
過去(1940年代)と現在(1960年代)をスイッチさせ
愛国心と家族への愛、国家と個人の幸福、
父と子、信じていたものの裏切り、孤独など、
いくつものテーマをかなりの数の登場人物を絡めて描き出した脚本がすばらしい。
アンジェリーナ・ジョリーはちょっと微妙でしたが
マット・デイモンは無口・無表情・真面目だけど面白みがなく
仕事はできるように見えて、
勢いやよかれと思ってやったことが裏目に出るタイプのドジッ子キャラで、
予告で流れていた「ヴォーン・アルティメイタム」のスパイさんと
同じ人とは思えません(いい意味で)。
でも、そんなキャラだからこそ、観客は彼の内面を推し量り、
その揺れ動きに沿うように映画を見てしまう。
全体の画面のトーンを抑えて、
どんぱちにぎやかなシーンや手に汗握る情報戦ではなく
先に提示された過去のシーンがどのような結果を生み、
現在行われていることがどのような原因から起こったのかを交互に見せられて、
最後には一本の、ひとつの男の人生の時間を描く。
一人の人間の人生をフィルムで追うという映画の醍醐味を
今回は幸せに味わうことができました。
監督がロバート・デニーロと聞いて、
監督は「ゴッドファーザー」を作りたかったんじゃないかとちょっと思ったんですが
少なくとも、映画を愛している人が作った映画だなぁと感じました。

で、「ブレイブ・ワン」。
これは「法を犯して悪を葬るということが正義なのか人殺しなのか」という
重いけれどかなり昔から考えられてきたテーマを持つお話で、
ラストも多分賛否両論あるし、
ストーリー的に細かいところはいろいろあるんですが

なんといっても、とにかくジョディ・フォスターがすばらしい!!!

この一言につきます。この映画の彼女を見られたのは、幸せでした。
ジョディ・フォスター自身が持つ潔癖さと清廉さとタフさと繊細さが
そのまま役柄とシンクロしていくんです。
もう、ずっと彼女に見入っておりました。
(まあ、それだけにあの結末は個人的にどうかとも思うんですが。
多分一番共感を得られるだろうというところに落としたんでしょう。)

ひさしぶりに「映画をみたなぁ!」と思った2本。
ちょっと幸せな夜でした。

by yuqui084 | 2007-11-02 16:14 | 映画

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